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2006/12/02

悔いのないように。

インフルエンザ予防接種については引き続き考え中。

さて、昨日の検診では通常の諸チェックのほかに、「子宮収縮剤(陣痛促進剤)の使用に関する説明書」「吸引分娩・鉗子分娩についての説明書」「診療に関する同意書」について医師から説明があった。どういうときにこれらの処置を行うか、合併症としてどんな可能性があるか、危険性を回避するためにどのような措置をとっているか、などだ。実際に処置を行う際にも説明するが、切羽詰っていることも多いのでこうして事前にも説明して署名を本人と夫からもらいたい、とのことだった。

「診療に関する同意書」には、

医師からの説明を理解できましたか。

 □理解した。

 □まあまあ理解した。

 □理解できなかった。

理解できなかった部分、もう一度詳しく説明してほしいことがありましたらご記入ください。再度ご説明します。

とあり、これに記入した上でさらに同意するかしないか、をも記入するようになっている。

なかなかよくできていると思う。「まあまあ理解した」ってどういう意味だ?とかつっこみどころはあるが。

ここの病院の組織体制はよく知らないが、企業の冠つきのためか、法務関係がしっかりしているような気がする。母親学級でも「妊娠・分娩時の主な異常」についての説明があって、その中で「この病院では36週未満の早産児を管理することが困難です」と24ポイントくらいの太字で強調するとともに、母体搬送についても説明があった(「常に決まった病院へ搬送できるわけではなく、その時点で産科、新生児科に空床のある病院をさがし搬送する」とある)。

特に人の命を扱うわけでもない自分のふだんの仕事ですら、関係先としばしば「言った、言わない」のやりとりが発生して「ログを残す」ことに異常に気を使っていることを考えると、病院しかも産婦人科でこれくらいやるのは、身を守るためにはむしろ当然だと思う(お医者さんブログを読んでいると、同意書があっても裁判で認められないこともあるそうだが)。

わたしの担当医師は、丁寧かつ穏やかな話し方の人で、赤ちゃんに会うことを楽しみにしている様子が感じられて人気があるらしい。その医師が、「吸引分娩・鉗子分娩」について説明しながら、「高血圧合併妊娠」にマルをつけて「奈良の事件の妊婦さんはこれだったんですがね、……」とさらっと言ったとき、「先生はあの事件についてどう思ってるんですか」と尋ねてみたい気持ちに駆られた。が、困らせてはいけないと思って黙った。

全国で産婦人科と小児科がどんどん減っている。すでに人口30数万のこの自治体でも、個人クリニックでは分娩を扱わない「産科オープンシステム」となっていて、この病院とあと2つの大きな総合病院しか分娩を扱っていないと助産師が言っていた。隣接する自治体からは妊婦を受け入れるが、隣の県の人は里帰り以外受け付けないそうだ。

さて、説明書にはいろいろ医学用語も出てくるが、そのあたりはgoogle先生に聞けばたいていわかる。帰宅してから「ラミナリア」とか「メトロイリンテル」とかは自分で調べた。

ところで「海藻」をつっこむというのを最初に思いついた人はエラいと思う。

また子宮収縮剤については、説明書には「子宮頚部の熟化の状態に応じて、下記のいずれを使用するかを決めます。□オキシトシン製剤:…… □プロスタグランジン製剤:……」とあったので、どっちがどうなのかと疑問に思ったところ、ちゃんと満期産における前期破水に対するプロスタグランジンとオキシトシンの比較というリッパな論文が存在するのであった。

どうでもいいが、「オキシトシン」を当初「オキシトキシン」と読んでしまい、「なぜそんな毒物のような名前を??」とか思ったら一文字多かった。オキシトシンは「人を信用させるホルモン」としても有名らしい。

「お産を甘く見るんじゃない」は母の口癖だ。母はわたしを産んだ後、子宮外妊娠の処置が遅れて死にかけ、また弟の出産の時にも大量出血で死にかけた。わたしを産んだときは、自分は問題なかったが赤ん坊(わたしだ)の首にへその緒が巻き付いて、子供のほうが死ぬところだったらしい。「はじまるまでどんなに元気にしていても、何が起こるかわからないんだからね」という。

もし何か起こってしまったら、そのときはがんばるしかないわけなので、それまでにできることといえば、「起きるかもしれない何か」について知っておくことと、できるだけ回避できるよう養生することくらいだ。

また今日も散歩にも出ずひきこもってしまったが……。

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コメント

こんにちは
トラックバックいただきありがとうございました。

周産期医療の将来は心配ですね...

こちらからもトラックバックさせていただいたのですが、間違って2つ送ってしまいました。記事からはわからない2については削除していただければ幸いに存じます。お手数をおかけしますが何卒よろしくお願いいたします。

投稿: いなか小児科医 | 2006/12/03 13:51

>いなか小児科医さま
コメントありがとうございます。トラックバックの件承知いたしました。
周産期医療の悲惨な状況については自分が妊婦になるまで知りませんでした。そして妊婦とかかわることの少ない周りの人間の多くは今も知りません。
しかし知ったからには周知するべきと思ったので、できるだけ親しい人間には状況について話題にするようにしております。

投稿: いずみん | 2006/12/04 00:37

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2006年11月30日 晴れ 明日から師走です。今日より朝の気温で3から4℃低い [続きを読む]

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