「生かさず殺さず」ですか?
1ヶ月くらい前にこのエントリで、「今年はノロウイルスが流行ってると複数の小児科の医師がブログで証言している」とか書いたが、あっという間に毎日毎日報道されるほどの大流行となってしまった。
幸いにして、自分も家族も、また知る限り会社の同僚や友人も、やられたという話をあまり聞かない(いやわたしの実家なんか魚屋だから、ノロウイルスにやられたなんてことになったら営業停止ものなんだけど)。
小さい子供のいる友人は家族全滅とか言っていたので、身の回りにノロウイルスにやられる人が少ないというのはやっぱり、いかに自分の環境が「子供と無縁」なのかと思う。逆に、満員通勤電車に毎日乗っている人たちがやられないというのは、インフルエンザなんかとは伝染りかたが違う病気なんだな、という感じがする。
さて、このノロウイルスだが、時々ブログにお邪魔している小児科医クーデルムーデル先生からいただいたコメントによると重篤になるひとが少なく、動物実験のできない(動物に感染しない)ウイルスなので研究対象にならなかったとのこと。なるほど、インフルエンザと比べても、とても辛いという話はあってもこれが原因で人が死んだという報道がない。
昔読んだ病原体はどう生きているか (益田昭吾著 ちくま新書)とかによると、ある種の生き物に特化して寄生している病原体は、その生き物が死に絶えると自分も子孫を残せないので困ってしまう。宿主が死ぬ前にどうにかしてほかの宿主にたどり着かねばならない。そこでたとえばコレラ菌は強烈な下痢を起こして(それ自体彼らにとっては栄養源だが)それに乗って外界へ出て行く。しかし一番ラクなのは、宿主が死なずに歩き回って病原体を撒き散らしてくれることだ。こうして、特定の生き物との付き合いが長い病原体はだんだん弱毒化して常在菌になっていくという。逆に、本来の宿主でない生き物、または本来住み着くべきでない身体の部分にいってしまった病原体は、もともとはありえないような重篤な症状をもたらすことが多いという。また、破傷風菌などは土に棲むのがもともとなので、生き物に取り付いた場合はそいつが「土に還る=死に絶える」ことがもっとも望ましいため、恐ろしい病原体となる。
というわけでノロウイルスだが、残念ながら上記の通りこいつについては研究が進んでいないとのことで、どういう感染環を本来持っているのかよくわからない。
インフルエンザウイルスなんかは、中国大陸のブタとニワトリと人間が密接に暮らしているようなところで進化しているらしいが、このノロウイルスもたとえば、日本近海のどっかの海の二枚貝のなかで増殖してそれが人間に来て…、とかそういう感じなんだろうか。O-157みたいにやっかいな変異をしたりしなければいいと思う。
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